「捨て子って、あの人?」 「そうそうそう」 ほら、また聞こえてくる。 ……もう嫌になってきた。 あっちの方からも捨て子。 こっちの方からも捨て子。 どこでも、わたしの噂が立っている。 「輝美……」 莉音も悲しそうな目だ。 「ごめん、なんかもう疲れた。帰ってるね」 そう言って、わたしはみんなを置いて走り去った。