わたしは手紙を持って、ベランダに出た。
「お父さん、お母さん、手紙だよ」
星空に向かって、わたしはそう言ってみた。
なんだか、お母さんの『輝美』とわたしの呼ぶ声が聞こえたような気がした。
『輝美』
_____なぁに、お母さん。
『大きくなったわね』
_____だって、わたしはもう高校3年生だよ。
『本当に大きく成長してくれたわ』
_____うん、あと少しで高校も卒業だよ。
『輝美、ありがとう』
_____こちらこそありがとう、お母さん。
あの時の、お母さんに抱っこされた時みたいに体があったかくなってきた。
本当にあったかいなぁ。
もう、お母さんが抱っこできるほどわたしの体は小さくないのにな。
目を閉じると、優しく微笑んだお父さんとお母さんが見えたように感じた。
お父さん、お母さん。
わたしと、瑠奈と、美奈にとって。
たった1人の、大好きなお父さんとお母さん。
いつも見守っていてくれて、ありがとう。
わたし……受験、頑張ります。



