「あ、見てみろよ!」
選択B教室に入ると、料理部が一口サイズのマドレーヌを展示していたみたいだった。
「美味そう、1個食べよーぜ!」
ノーマル味のマドレーヌを手に取ってから、新垣くんはわたし達を誘ってきた。
「さっきチュロス食ったばっかだろ」
松岡くんは、苦笑いする。
「食べて後悔より食べないで後悔する方が嫌だろ」
そう言って、新垣くんはノーマルマドレーヌを口の中に放り込んだ。
わたしは紅茶味のマドレーヌを選んだ。
紅茶のいい香りが、ふんわりとわたしの周りを満たした。
「あれ? 輝美、真帆! それに松岡くんと新垣くんも!?」
可愛い声が聞こえて、顔を上げると花乃が教室に入ってくるのが見えた。
「あ、花乃」
花乃がココアのマドレーヌを取って、わたし達のことをちょっと嬉しそうに見つめた。
「なになに、松岡くんとデートみたいなことしてたら、こうなったってこと?」
真帆の耳に小声でひそひそと聞いてくる花乃。
「本当は2人っきりにして、そういうことにしてあげたいんだけどね……」
「もしかして素直になれてないってこと?」
「そういうこと!」
「全く輝美ったら〜」
ひそひそ話をやめて、花乃はニコニコしながらわたしにそう言った。
「2人ともやめて!」
「あ、住吉んとこ行かなくていいのか? そろそろ行かないと、合唱部の発表に遅れるぞ」
松岡くんが壁にかかった時計の針を見つめてからそう言った。
「そうだった!」
「行こ!」
わたしは、真帆と花乃と一緒に音楽室へ向かった。



