「ここかぁ」
選択A教室に入ると、カラフルな布で作られたスイーツ達が繋げられた机にずらっと並べられてあった。
白と黄色と赤の布で作られたショートケーキとか、少しアレンジを加えられた白熊をモチーフにした大福とか。
「真帆のはどれー?」
「こっち」
「あー、これか。へえー、可愛いね!」
真帆が作ったケーキは、真っ白なケーキだった。
薄い水色で雪の結晶が作られてあって、パステルカラーの小さな花の飾りまでついてある。
「でしょ!」
「でも、確かこういうのってフェルトキットとかでもできるんじゃなかったっけ? 妹がよくやってんだけど」
「分かってないわね、新垣くん! フェルトキットじゃできないような工夫が、手芸部には隠されてるのよ」
まるでお金持ちの奥さんみたいに、堂々と話す真帆。
「へえ、工夫か。俺が手芸部だったら、工夫全部覚えられっかな」
「ふふ、好きだからできるのよね」
それは、そう。
わたしだって、絵は好きだから描ける。完成した絵を見て、出来栄えがいいほど自分が描いたことを確認するとなんだか誇らしい気持ちにもなるしね。
「おー、偶然だね!」
高い声が聞こえてきて、莉音が入ってきた。
「莉音!」
「真帆の、これみたいだよ!」
「うわあ、こりゃきれいだね! ホントの砂糖菓子が乗ったケーキみたい」
きれいな茶色い瞳を見開いて、そう言う莉音。
「そうだ、莉音。合唱部は?」
「……って、そっか! そろそろ準備しないと! じゃ、音楽室行くね!」
莉音は、教室を出て足音を立てながら姿を消していった。



