藍と如月刑事は一旦研究所などに戻るつもりだ。如月刑事に藍は送ってもらうことになった。

「大輔、ちょっと止めてちょうだい」

ぼんやりと窓の外を見ていた藍は、高校の前で立ち尽くしている朝日奈美紅の姿を見て如月刑事に声をかける。車が止まった刹那、藍は車から降り朝日奈美紅のもとへと走った。

門の前で立ち尽くしている朝日奈美紅は、まるで誰かを待っているようだった。その手に持っていたのは、赤いお守りだ。桑原悠河の作ったお守りかもしれない、そう藍は思ったのだ。

「朝日奈さん」

藍が声をかけると、朝日奈美紅はびくりと体を震わせる。そして、覚悟を決めたような目で藍を見つめた。

「……私、嘘をつきました」

そう言い、朝日奈美紅は藍にお守りを渡す。赤いだるまの形をしたお守りだ。

「桑原さんの死の真相を知っているということですか?」

藍の後に続いてやって来た如月刑事が訊ねる。朝日奈美紅は少しずつ話し始めた。

「私は、桑原くんにいじめられてなんかいませんでした。私をいじめていたのはお二人もあったあの三人です。悪口を言われたり、靴を隠されたり、お金を脅し取られたこともあります」