死因を二人に伝えた後、藍は大河とともに研究所へと帰る。辺りはすっかり暗くなっていた。

「藍さん、研究所に帰ったら一緒にご飯でも行きませんか?」

「いいわね。どこに行くの?」

「天ぷらのおいしいお店を見つけたんですよ!」

大河は嬉しそうに笑う。藍もおいしい天ぷらに胸を弾ませた。仕事を頑張った後は、おいしい食事を楽しみたい。

「……実は、一週間後から俺はしばらく研究所に行けないんですよ」

笑っていた大河が急に寂しそうになる。藍は「どうして?」と首を傾げた。

「アメリカの医療大学の生徒と交流会をするために、しばらくアメリカに行くことになったんです。向こうの医療技術などを勉強しに行きます」

アメリカと聞いて、藍の頭の中に青磁のことが浮かぶ。青磁は旅行が好きで、家族と国内をあちこち旅行するだけでなく、海外にもフラッと旅に出ることがあった。

「大河くん、アメリカに行くのなら気をつけて。アメリカの凶悪犯罪発生件数は、日本の約十九倍。お兄ちゃんもアメリカを旅した時に銃で足を撃たれたの」