朝を知らせるいつものアラームの音。


クローゼットにしまってある、いつもの制服。



食パンにヨーグルト、それに牛乳。いつもの朝ご
はん。


いつも通り、私の変わらない日常の始まり。


……でも……今日からは違う。


あっ、いる。


やっぱりいる。


昨日のことが嘘なんかじゃないってことを実感する。


嬉しい。


……どうしよう、土壇場になって今日の髪型とか顔に何かついてないのか、色々気になっちゃう。


走ってもないのに心臓がバクバクしてる。


最初はやっぱり「おはよう」からだよね。


それから今日の学校の授業はこーだよねー、そう言えば英語の宿題もあったね。


みたいな会話をしてみたり。


でもいざ話そうとすると頭の中真っ白になっちゃいそう。


「おっ、おはよう。カナ」


私に気づいた彼が満面の笑みで私に語りかける。


「えっ、あっ、はっ、、、おっ、おはよっ」


あああ、おはようすらもろくに言えない。


「ははっ」


挙句の果てに笑われる始末。恥ずかしい。


「緊張しすぎだって、まだ初日だぞ」


初日だからこそなんですけどね。


でも、まあ、これからだもんね。


そんな呑気なことを考える。


緊張してる私以上にに緊張した様子で彼が差し出してきた手。


そっと、ぎゅっと、握りしめる。


前島カナ。16歳の高校二年生。


今日からドキドキ毎日が始まります。