思った通りの構図で思わずにんまりした（博士のお姿が想像に比して小柄だったのが印象的であったが）ことを思い出す。
　まぁつまり自分の部屋もそういう風にしたいという訳である。もっとも、周りに読みかけの新聞やら積ん読一方の文庫本やらその他もろもろ置いておくだけで何となく研究室っぽい風情を醸し出していると自分が錯覚しているだけなのだが。それに周囲に物があったほうがどうも私にとっては落ち着くようである。
　祖母の言うとおり、緊急時に逃げ出すときに周りに物があれば支障を来す。隣家のおじさんは雪が降ったらすぐ片付けるようにしている。それこそ一日に何度も雪を掻いている。あんまり丁寧にするものだから、おじさんの家の玄関先だけアスファルトの黒色が露出してしまっているぐらいだ。さすがの祖母も舌を巻いていた。それだけ雪掻きが好きなのか、体を動かすのが好きなのか、きれい好きなのか、どれも当てはまるだろう。だが、彼の頭にも災害等に対して備えを万全にしておくという意識があることを祖母から聞かされた時、この符合に何かを感じずにはいられない私だった。