お前にはかなわない


「臓器提供の意思表示カードだよ」

「えっ……」それを聞いて俺は言葉を失った。

そして頬に何か温かいものが流れた。

「あの子の意思だからね。最後の願いなら聞いてあげないわけにいかないだろ?」


「そんな……」


「陽向はきっと千宙くんに生きて欲しかったんだ。
千宙くんと生きていたかったんだよ。」


「だから千宙くん、長生きしてくれ。陽向の分まで、……いや陽向と一緒に。」


「…はい。」

俺は涙ぐみながらその一言を振り絞った。