それから少しして母さんが部屋へ来た。
陽向の親とも連絡が取れたらしく俺に告げられた言葉を俺は信じたくなかった。
「千宙よく聞いて。陽向ちゃんねえ、脳死みたい。」
母さんは続けて言った。
「お医者さんも最前を尽くしてくれたみたいなんだけどねえ.........」
だがその時の俺には母さんの続けた言葉は届かなかった。
『脳死』という単語だけが頭の中を駆け巡る。
胸の中に閉じ込めていた涙がいっきに込み上げた。
「あなたに会いに来る途中だったみたいよ。」
俺は顔を上げるとそこで初めて母さんと視線が合った。
「はい、これ。陽向ちゃんのお母さんから預かってきたの、どうか受け取ってほしいと。」
それは俺の知り合いから仲いいヤツまで大勢の人からのメッセージが集まった寄せ書きだった。
「それと、これ。最後まで握りしめて、離さなかったんだって。」
そう言って渡されたのは俺宛の手紙だった。

