「イヤァ!!
イヤだぁ!!
持っていく~
絶対持っていく!!
寧々にあき君がくれたのぉ~」

これほど大声が出せるのか?!と……

居合わせた全員が驚いた。

あまりに泣きじゃくる寧々を不憫に思った施設の保護司さんが。

「施設の中は、私が預かってても良い?
それなら持って行って良いよ。」と

優しく宥めてくれた。

たぶん、何度も引き離される寧々を可哀想に思ったんだろう。

あれ以来の涙だったな。

ホテルに着くと、洋介がロビーのイスに腰かけ待っていた。

「寧々は俺の部屋で寝てる。
お前の部屋に行くぞ。」

一人にして大丈夫かと心配する俺に、彩ちゃんが一緒だと答えた。

また迷惑かけたな。

落ち込む俺に

「圭哉と会長に怒られる覚悟が必要だぞ。
後、お袋には殴られるかもな。」と言って笑った。

部屋に入ると

「飲み物用意しとくから、シャワーを浴びてこい。
色男が台無しだぞ。」と笑われた。

鏡に映る姿は、確かに酷いものだった。

寧々の事になると、必死だな。

実は、卒業出来ないのは俺だと改めて自覚した。

帰ってなかったんだな。

呆れられ、帰っていると覚悟を決めてたから………

少しだけ、希望がもてた。

明日は謝って……………許してくれるだろうか?