洋介が座っていた。

「よぅ~ちゃ~ん。」

緊張の中、見知った顔を見つけ

いつも以上に、嬉しそうに駆け寄る。

チッ!

さっきまで俺にしがみついていたのにと思うと

何やらライバル心が沸いてくる。

「寧々、こっちだろう。」

大人気ないと思いつつ、声をかけると。

俺と洋介を見比べ、こちらに歩いてきた。

チッ!

今度は、洋介が舌打ちをする。

「ちょっと!
子供の前で舌打ちは、止めてよぅ。」

二人を見比べ、抗議しながら

「寧々ちゃん。
洋介お兄ちゃんと彰お兄ちゃんと………
このおじさんがケーキを買ってきたから
いっぱいになったんだけど、どれにする?」とさりげなく寧々に近寄る。

「俺だけおじさんって……………。
後で覚えとけよ。」

自分だけ年寄り扱いされて面白くない兄貴はほっておいて。

選択肢の増えたケーキをじっと見つめる寧々を見ていると

迷うことなく俺と一緒に買ったケーキを選んだ。

ヨシッ!!

思わず心の中で、ガッツポーズをする。

悔しそうなのは洋介。

自分の妹が、一週間前に預けた俺になつけば…………

まぁ、面白くないよなぁ。

この一週間。

ずっと側で過ごした時間を思い出して、満足感を味わう。