「橘 寧々ちゃんだ。
ねね、彰兄ちゃんだぞ。
昨日話したよなぁ。
優しいから安心して大丈夫だからね。」

元々優しい洋介だが、寧々ちゃんにはメロメロらしい。

「こんにちは、彰人です。
寧々ちゃん、今日からよろしくね。」

洋介や悠人、たんぽぽ幼稚園の先生達のように

子供の目線に下がってなんて出来ないが………

俺は俺のやり方で、対等に一人の人間として

付き合っていけたらと思っている。

寧々ちゃんにも、何となく伝わったのか

コクリと頭を下げて、俺の手を握った。

「おぉ、ヨシヨシ。
先ずは、第一関門突破だな。
ねね、それじゃあ行っておいで。
どうしても寂しくなったら
彰兄ちゃんに言えば、迎えに行くからね。」

チャイルドシートに座らせ、窓越しに話す洋介は

遠距離恋愛の彼女を送る、彼氏のようだった。

助手席に乗せた彼女の荷物は………

着替えにおやつ、オモチャに絵本。

お弁当にお昼寝布団と…………

引っ越しか?と思うほど用意してある。

彼女が何故、親元を離れて洋介の所に来ることになったのかは

分からないが…………。

悲しい思いや、辛い思いをしてきてるはずだ。

経験者の俺が思うに………

大人には分からない思いも沢山感じていただろう。