隣でおばさんに抱きしめられてた雪が
勢いよく立ち上がった。
「克樹さんは警察署の署長なんだ」
「署長…」
拍子抜けしたようにソファーに座る雪。
それを確認したのか克樹さんは
再び話し出した。
「松田は…この東京で5年前ぐらいから
詐欺を繰り返してる男だ。
その被害額は1億をこえた」
1億!?
「警察も捜索をしてるんだが
裏でこそこそと商売していてな。
店をもたずに契約も喫茶店などで
行ってるため居場所が分からない。
雪ちゃん。松田の店に
行ったことあるか?」
「…会社なら行ったことあります。
けど、店には…」
「やっぱりな。その会社って
どこにあるか分かるか?
できれば奴の家も」
「あっ…分かります」
雪は克樹さんに渡された紙に
会社と家の住所を書いた。
「あの…克樹さん。
松田を逮捕できますか?」
「…まぁ、俺達が追ってるぐらいだし、
話からすると雪ちゃんは完全に
監禁されてたことになるから
逮捕は十分できる」
「早く逮捕してください!…じゃないと
秘密を知ったことで雪、
あいつに殺されるかもしれなくて」



