カウンターの上に置いてあった
ペンと紙を渡された俺は記入する。



指輪の会計を済まして、
店員に紙をもらった。



「入荷次第ご連絡いたします。
ご来店の時はその紙を提示して下さい。
ありがとうございました」



そう言って俺に頭を下げた。



俺は軽く頭を下げると店から出た。



「やっほぉ~」



店を出た瞬間聞こえてきた声。



店員に渡された紙を財布に入れようと
していた俺は顔を上げた。



目の前には車から身を乗り出して俺に
ひらひらと手を振っている香奈さん。



「何してるんすか?」



「今からSevenのスタジオ行くとこ。
今日は仕事お昼からだから」



車に近づく俺にそう説明する。



「そんで、指輪見に行くの今日とか
言ってたから店の前通ったの。
そしたらちょうど光輝発見、みたいな?
ねぇ、いいのあった?」



「いいのはあったんすけど在庫が
切れてたみたいで取り寄せ」



財布に入れようとしていた紙を
香奈さんにちらっと見せた。



「なぁ~んだ。
どんなの選んだか見たかったのにな」



「いや、見せないですから」