「はっ!?」
俺は思わず立ち上がった。
「お前の力で雪と結婚させてくれ。
雪を俺のものにさせてくれと頼んできた」
「要求…受けたんですか…?」
「バカな…婚約なんて無茶な話だ。
いくら私でもそんなこと出来ないし、
こっちの都合で婚約などさせられない。
私には彼女の将来に干渉する権利など
無いからな」
「それで?…とりあえずデビュー
させたんですか?雪に近づかせるために」
「最初はそのつもりだった…
あの表紙撮影を見学するまでは…」
表紙撮影…あの時の?
「光輝くん…君は雪ちゃんの過去を
どこまで知っている?」
「は?」
「施設で育ったこと。
初恋の男の子のこと。
松田不動産会社の事件。
…一体どこまで知っている」
「全て知ってます」
「知っていて彼女を引き取ったのか?」
「そうです。でもなんでそんなこと…」
「調べさせてもらったよ。
刑事に知り合いがいるものでね」
「それが…何か関係あるんですか?
雪を誘拐したことと」
「誘拐?…誘拐したのは君だろ」



