「冗談よしてください」
そう言いながら家の中を探し回った。
でも雪はどこにもいない。
「まぁ、ここに座って。
君と話したいことあるんだ」
…話したいこと?
俺は宮さんに言われたとおり座った。
「まず最初に…高嶋徹のことだよ」
高嶋?
「高嶋徹がなぜ芸能界デビューしたか
知りたくないか?」
「いいから話してください」
「…彼は雪ちゃんと同じ高校らしいね。
そして入学式の時…いや…受験の日から
彼女に惚れていた。
最初は彼女の外見に惹かれた。
けど、それ以上に性格も良かった。
高嶋徹は純粋に一目ぼれをした。
けど、彼女には好きな人がいた。
そして、その人とはすでに同棲。
けして手の届かない人。
月日を重ねるごとに2人の絆は深まり…
彼は半分諦めかけていた」
「それで?」
「彼の家庭の事情を知っているね?
母親を幼い頃に亡くし、
父親は単身赴任で家にはいない。
だが今年の4月に単身赴任だった父が
帰ってくることになり彼はとても喜んだ。
今か今かと待っていた彼に1本の電話。
警察からだった」
警察…?
「父親が交通事故で亡くなったという
知らせだった」



