「…うん」



鼻をすすりながら俺の
腕の中でうなずいた。



「じゃあ帰るぞ」



「はい」



立ち上がってどかんを出た。



家への道を歩いてる時にもまた。



「…くしゅん」



俺の少し後ろでくしゃみ。



「はっ…寒いか?」



「ぐすっ…寒い…」



「ほらっ」



そう言って俺は手を出した。



「…は?」



「手つないだら温かいぞ?」



俺を見上げてとまどいながらも
手を握って俺の横に並んだ。



その時…あのいい香りがした。



「…お前…いい香りするな」



「ん?」



「きっとめちゃくちゃ優しいんだな」