手を引っ込めて落ち着く俺。
手を引っ込めて俺を見つめるその子。
「違うの…。このスープが」
「うん」
「冷たいけど…温かくて…」
えっ…。
「冷めても…愛情が入ってたら
温かいんだって思って」
「温かい…?」
「きっと元カノさん…あんたのために
一生懸命作ったんだよ…」
そう言ってスープを俺の方に寄せてきた。
「食べて…あげて?」
その子を見つめてスープを見つめた。
スープは見るからに冷めてるけど
ほんのりいい匂いがした。
器を持ち上げて一口。
飲んだ瞬間なんか涙がでてきた。
「…あのっ…」
「…あっわりぃ」
あわてて涙を拭いた。



