かばんから出てきたのは弁当だった。
包みを開けるとメモがあって、
【こうきへ。
仕事頑張って。
弁当作ってみたから食べて。
ゆき】
雪…。
「光輝…早く行きなよ」
「え…」
「これ見ても何も思わないの?
心揺れない?」
雪…。
「…香奈さん。すいません!」
俺は弁当をかばんに入れて
楽屋を飛び出し、バイクを走らせて
家に帰った。
「雪!!!」
真っ暗な部屋に明かりをつけたけど
雪はいない。
部屋にも…いない。
まだ帰ってきてないのか?
あたりは薄暗い。
どこにいるんだよ!
俺はバイクを走らせてあちこち探した。



