そう思ってあたりを見渡した時
路地から自動販売機が見えた。
俺は走っていってココアを買い
女の子のとこに戻って
目の前に差し出した。
「ほらっ」
その子は俺を疑問そうに見上げた。
「ん?ほらっ。やるよ」
おそるおそる缶を受け取って
手を温めてる。
かすかに口元が緩んだ。
俺はその子の目の前にしゃがみこんで、
「あったけぇだろ…」
その子はゆっくり俺を見つめた。
「ここは寒いな…。
あったかいとこ行きたくないか?」
「…」
「…知らないやつについてくのは嫌か?」
「…」
「…でも、このままここにいたら
悪い奴にからまれる。確実にな」
「…」
「どうせそうなるんならここは
俺を信じて俺ん家こいよ。な?」
「…」



