生きたがりの私たちへ


ぶんぶんと頭を振った

「ほんと、今更だよ…」


気づくと放課後になっていた

「…ん」

あくびをして体を起こすと
隣に紫萌が座っていた

「あ、おはよう、汐夏ちゃん」

ん、と私は返事をしたとき
紫萌の手に目がいった

「その手…」

「あ、この傷…?
私、ドジだからよく怪我するんだよね」

紫萌は明るく言ってくれたが
明らかに朱堀さんにやられたのだろう。

紫萌も分かってると思ったのだろう
それ以上何も言わなかった。

「さ、帰ろっか」

私はその時一瞬、一瞬だけ
紫萌に嫉妬した。

帰る場所がある、誰かと
話すことができる、
…生きている。