言葉が上手く出てこない。 詰まって詰まって、震えた声に乗って言葉が溢れ出す。 「別に、いいんだ、川橋さんにだって……色々あるだろう、し」 それじゃ、とその場を去ろうとすると、制服の裾をきゅっと掴まれた。 「ごめんね、」 いつもとは違う、少しだけ歪んだ口元。 綺麗な笑顔じゃない、叱られた幼い女の子みたいな笑い方。 「坂田くんには……綺麗なままでいてほしい。」 「あ……うん。」 それしか、出てこなかった。