「腕組むのやめろ、歩きづれー」 「いいじゃん、誰も見てないんだし」 「いや、前に人いるし」 放課後の人通りのほとんどない時間。 夕方の肌を貫くような冷たい外気にはさらされまいと皆がそそくさと帰ったせいで、いつも賑やかな道には俺たちしかいない。 「あ、曲がった」 目の前を歩いていた紺のコートを着た女子生徒が、左側の塀へ吸い込まれていくように方向転換をした。 「川橋さん、今日も塾っぽいね。真面目だ」 「へぇ、知ってるんだ、さっきの人」 「うん」