「桜ちゃん!せっかくだし、案内してあげなよ〜」

桃ちゃんが私の背中をグイッと押す。

「押さないで。……きゃっ!」

足がもつれてしまった私は転びそうになる。それを、アレッサンドロさんが素早く抱きとめてくれた。

「大丈夫ですか?」

「す、すみません……」

胸がドキドキしてる。恥ずかしいけどこのままくっついていたいような気持ちもあった。

「アレッサンドロさん!ご案内します!」

体をアレッサンドロさんから離し、私は元気よく笑う。来てくれたことが何よりも嬉しいから。

「じゃあ、時間になったら来てよ」

「うん!」

桃ちゃんと別れ、アレッサンドロさんと廊下を歩く。彼はやはり女の子たちからの注目の的だ。

「お化け屋敷……。すごいものがあるんですね」

「よかったら入りますか?」

興味深そうにあちこち見るアレッサンドロさんを案内し、私は仕事をするためにカフェへと向かう。アレッサンドロさんも一緒だ。