何日か一緒に行動しているせいか
陛下と影近達は、仲良くなっていた。
お互いに歩み寄ることは、大事よ?
でも、いくらなんでも距離が縮み過ぎでしょーが!!
この前まで殺し合いになりそうだったのに
今は、その面影はなかった。

「このパン旨いな?」

「だろだろ?これ俺が作ったんだ」

「はぁっ?これルチアが作ったのか!?
お前……どれだけ女子力高いんだよ」

「アハハッ……何なら嫁にもらう?」

「いらねぇーよ」

影近がそうツッコむと陛下は、アハハッと笑っていた。
陛下……あなた。どれだけ
コミュニケーション能力が高いのですか!?
リュウ様も同じように笑っているし
いつの間にか打ち解けていた。

「ルチア様達……何をなさっているのですか?」

私は、呆れながら言うと陛下は、ニコニコしながら
「おーアイリス。お前も一緒にやるかババ抜き」と
言ってきた。いや、やりませんから。

「結構です。それよりいいのですか?
もうそろそろ東洋の国・日本が見えてきますよ!」

観光気分になっている陛下に
目的を忘れていないか心配になった。
するとそれを聞いた影近は、スッと立ち上がった。

「もうそろそろか……」

「どうした?影近」

「外の様子を見てくる。
そろそろなら遠くから見えるはずだ!」

えっ?外を見てくるの!?
しかもよく見ると手錠まで外されていた。