「嫌だなぁ……彼女は、歴としたヒルストン一族の
血を引いた子だよ?だから俺が養子として
引き取ることになっても別に不思議ではないだろ。
そうなれば、彼女もまたヒルストン伯爵の親族だ。
ただのメイドじゃない」

私が……ヒルストン伯爵家の養子に!?
いやでも……私には、陛下の騎士としての宿命が!!
動揺しているとリュウ様は、私を見るとニコッと笑う。

「俺は、君と親戚関係になるけど君のやり方に
制限する気はないよ!
まだやりたいんだろう?騎士に」

リュウ様……。
するとガタッと立ち上がる陛下。

「リュウ。随分とやってくれたじゃないか?」

「あぁ、悪いな。説得するのに時間がかかった。
だが叔父の大切な娘だ。でも悪くないだろ?
彼女は、もう孤児でもない。
歴としたヒルストン伯爵の令嬢だ。
王族ではないが、高貴で名誉ある伯爵家の娘に
何か不満かな?」

「いや。上出来だ!」

陛下は、不敵の笑みをこぼすと拳を合わせた。
えっ!?もしかして2人とも手を組んだの?
私を騎士としてやっていけるように……。

大臣達も何も言えなくなってしまう。
無理もない。伯爵家は、名誉ある一族だ。
そして私は、正式にヒルストン伯爵の養子になることになった。

そして今まで通りに陛下の専属メイドや
ボディガードをすることを許された。
元通りの生活に戻った。
私は、リュウ様に深々と頭を下げてお礼を伝えた。

「リュウ様。ありがとうございました。
私のために色々として下さって」

「あぁ、いいって。俺も可愛い義妹が出来て嬉しいよ。
お礼は、いいからリュウお義兄様と呼んでくれたら
嬉しいんだけどな。ねぇ?」

ウィンクをされながらそう言ってきた。
お義兄様……?
何だか気恥ずかしさがあった。

「じゃあ……リュウ……お義兄様」

恥ずかしそうにボソッと呟くと
リュウ様に抱き締められてしまった。えぇっ!?
心臓がドキドキと高鳴ってしまった。