「強くなれば……影近様のそばに居られる。
影近様は、幼い頃から……ずっと憧れだったから。
このギルスに来たのも影近様が行くと言うから
せめて力になれたらと思って。
でも……お城のメイドとして潜入して
私は、初めて忍びではないことを知った。
アイリスと出会って……普通に話したり、笑ったり
本当に楽しかった。でも影近様は、アイリスに
興味を抱くようになって嫉妬もしたわ。
邪魔だって……ゴホッ……」

「もういい……紫帆。それ以上喋るな!?」

ミアは、血を吐きながら咳き込むと
影近は、辛そうな表情をしていた。
ミア……あなた……。

「ごめんなさい……影近様。
私は、掟を破った。ギルスの……アイリスを
馴れ合い庇った。でも……後悔はしていないわ。
アイリスは……私の……大切な……」

静かに目を閉じるミア。手が落ちた。
一瞬静まり返った。
それは、ミアの死を決定付けたからだ。

「いや……ミア。目を覚まして。ねぇ~ば~!?」

私は、泣きながら叫んだ。
まさか、大切な友人を亡くすなんて思わなかった。
影近も驚きとショックで座り込んでしまった。

「紫帆……お前……」

影近は、ソッとミアの頬に触れた。
ポタッと一滴の涙がこぼれて影近の手についた。
まるで気持ちを現しているみたいだった。

「すまない……紫帆」

頭を下げる影近を見て私も涙が溢れた。
こんなお別れかたは、辛いよ……。
その後。すっかり意気消沈した影近達は、
ギルスに囚われた。

影近達をどうするか会議にかけられたのだが私は、
複雑な心境だった。ミアが死んでしまったのもだが
東洋は、知らなくても親戚関係の国。
そう思うとまったく知らないと言えなく
胸がざわざわして複雑な気持ちだった。

「やはり国王陛下の命を狙ったのは、重罪です!
他の王族達にも危ない目に遭わせて
苦情が出ているんですよ?死刑にするべきです」

「そんな危ない国は、今すぐ潰すべきだ!!」

「いや、それも重大だが。それも全て
あのメイド……アイリスも騒ぎを巻き起こしたと
聞いている。そんな危ないメイドは、
すぐに城から追放するべきだ!」