「さぁ、どうだろうな。
雇い主が居る以上、情報を無闇に漏らさない。
それにもう1つの半蔵様の与えられた任務は、
お前を連れ帰ることだ。さぁ来て頂こう。
俺らと一緒に東洋の国……日本に」

影近が手を差し出してそう言ってきた。
そんな事があってたまるか!!
私は、ギロッと影近を睨み付けた。

「そんな勝手な理由で、連れて行かれてたまるか。
私は、ルチア様の騎士だ!」

短剣を取り出すと影近って男に攻撃した。
一瞬の速さだったにも関わらず
ひょいと宙返りをして避けられてしまう。

「チッ……だが、まだだ!!」

すぐに体勢を変えると短剣を切りつけた。
影近は、バク転をしながら
ベランダまで行くとこちらを向きニヤリと笑ってきた。

「今日は、ここまでにしておこう。
いい土産を見つけたしな。それよりも
早く行った方が良くないか?
今頃ルチアーノ国王陛下は、殺されているかもしれないぞ?」

「なっ!?」

影近は、それだけ言うとベランダから
飛び降りてしまった。私は、慌ててベランダから
下を見るが器用に下のベランダを渡りながら
下におりてしまった。

なんて身軽な奴なの!?
それに明らかに私の動きを見切っていた。
あの対戦した慎という忍びより多分強いだろう。
ハッ……それより早く陛下のところに戻らないと

私は、慌てて出ようとするが
今から急いで行っても階段を使っていたら
時間が、かかってしまう。何とか
時間を短縮しないと……。
私は、パッとベランダを見た。

「チッ……仕方がない。これで」

あの男の真似をしているみたいで
嫌だけど、陛下を守るためだ!
ベランダから飛び降りることにした。
下には、違うベランダがある。飛び降りながら柵を掴み
次も下のベランダを狙って降りた。
その繰り返しで1階まで飛び降りた。
この身軽さのせいで、よくエイリオに
サルだと言われていた。

「よし。急がなくちゃあ……」

陛下のもとに急いだ。
お願い……間に合って!!