そんなの信じない。
ギルス大国と東洋の忍びが関係していたなんて。
私がその血を引いているなんて……。

「嘘じゃない。紅葉叔母様……服部紅葉(はっとりくれ)は、
我が東洋で伊賀の長である服部半蔵(はっとりはんぞう)の孫娘だ。
伊賀の中でも1番優秀のくノ一だった。
しかし、ギルス大国に密偵に行った時に
紅葉叔母様は、ギルス大国の男と恋に落ちた」

「どの男か分からないが、名のある男だったらしい。
その男との間に1人娘を産んだ。
しかし伊賀の忍びの掟は、裏切りを許さない。
命の危険を感じた紅葉叔母様は、自分の娘を
何処かに預けた。娘を守るために……」

影近の言葉に私は、自分の立場と重ね合わせていた。
まるで自分の事のように思えるほど合っている。
偶然か?まさか。そんなはずは……。

「預ける際に自分のつけていたペンダントを
その娘に預けたらしい。お守り代わりに。
のちに紅葉叔母様は、捕まり伊賀に連れ戻されたが
自分で命を断った。それも自白を防ぐためだろう。
だが長の半蔵様は、孫娘の紅葉様を
大変可愛がっていたから悲しんだ。
せめて、その娘である曾孫を引き取りたいと
ずっと捜していた。
つまり……それは、お前のことだ!」

そ、そんな……!?
私が東洋の血を引いているなんて……。
その言葉にショックを受けた。

「し、信じたくない。そんなこと」

「信じたくなくてもそれが事実だ。
ちなみに俺は、その半蔵の曾孫で紅葉叔母様の
甥にあたる。つまりお前とは、イトコ同士だ!」

影近は、さらに衝撃な事を口に出してきた。
信じたくなくても彼の言葉には、共通点が多過ぎる。
まるで前から私の人生を見てきたかのように。
そして、私も知りたかった内容だった。

私は、東洋の人間……。
心臓がドキドキと鳴って苦しくなってきた。
頭が真っ白になっていく。

「だ、だからって陛下を殺す必要ないじゃない!?」

「それは、別だ。雇い主の依頼だからな。
依頼があれば、誰で在ろうが任務を遂行する。
それが伊賀流の掟だ!」

「あなた達の雇い主って、やっぱり
イージスなの!?」

私が影近に質問をした。
その可能性が高いと陛下も言っていたし。
しかし影近は、クスッと笑っていた。