それは蝉の鳴く夏の日に行われた。
 棺桶のあの人はいま、何を思っているのだろうか。それを聞くことは出来ないのに、親族達の心無い言葉は沢山聞こえてくる。
「旦那さん、浮気してたみたいよ」
「そのこと、唯花さん気づいてたみたい」
「それよりも、別れ花が彼岸花はどうなのかしら」
「不吉よねぇ…」
彼岸花は夫が好きだったから入れたのだ。
 蝉よりも大きい噂話と否定しかできない親族達をくだらないと思った。何も知らないくせに、
だらだらと話さないで欲しい。
 
そんなもの、初めから気づいていた。
 気づいていたからそばにいたんだ。