自分はあの奴隷商に捕まったはずだ。それを誰かが助けてくれたのだろう。そして、道で倒れていたはずの自分をここまで引きずってくれたに違いない。

街の先住人たちだろうか、だがそれは決してありえない。

彼らは孤児を追い出すようなことはしないが、だからと言って手を差し伸べることはない。微妙な距離を守っているのだ。

では、いったい誰が…。

そんなリークの疑問は目に飛び込んできた真っ赤な毛布によって、解決させられる。

「これって…」

頭に浮かんだのは、帰り道の途中で仕事をする代わりに、食べ物を恵んでもらおうとしていた少女の物だ。

肩に重みを感じて隣を見ると、この毛布の持ち主である少女が小さな寝息を立てていた。