基準値きみのキングダム



「森下、皿洗いさせてほしいんだけど」

「えっ、いや、いいよっ、大丈夫だから!」

「いや、さすがに飯食わせてもらっといてそんな────」

「ううん、いいっ!わたしひとりの方が早いから! ほら、深見くんはおうちに帰って……」




お皿を洗おうとしてくれる深見くんを、ぐいぐい押して玄関へ連れていく。

だって、王子様にそんなこと、させられない。



「いや悪いから」
「気にしないで帰って!」


と攻防を繰り返し、最終的には苦笑した深見くんが折れてくれた。



「ありがと。美味かった」

「……うん」

「きょーすけくん! これっ! きょーかから、プレゼントっ!」

「え、もらっていいの? これ、王冠?」



玄関までぱたぱた駆けてきた京香が、深見くんに折り紙でつくった王冠を手渡した。



「うんっ! きょーすけくん、王子さまだから!」