「めちゃくちゃ緊張してるくせに、必死に隠そうとしてて。隠せてないけど」
どうして、深見くんにはわかるの。
驚きを通り越して、なんだかもう怖くなってきた。深見くんには、そういう超能力が備わっているのかもしれない。
そうやって女の子のことなんでもお見通しで、落として────。それならチャラいって言われるのも納得できる。
「てか、ほんとに美味いね、これ」
深見くんの箸が止まらない。
お皿がどんどん空になっていく。
あまりに気持ちのいい食べっぷりに、思わず。
「あの……、よかったらもうちょっと食べる? まだ少しだけ残ってて────」
明日のお弁当用に、取っておこうと思っていたのだけど。
こんなに喜んでくれるなら、と提案して、すぐに後悔する。
いくらなんでも、押し付けがましかったかなとか、そういえば深見くんには家の夕食もあるのに、とか。
また自己嫌悪に陥る、前に。
「えっ、まじで? いいの? おかわり貰っても」
「え、あ、うん……、こんなのでいいならいくらでも」
「そんなこと言われたら、俺ありえないくらい食っちゃうけど。それこそ森下家の冷蔵庫空にする勢いで」
真顔で茶目っ気のあることを言う深見くんに「ふっ」と思わず、笑い声が漏れてしまう。
すると、深見くんは少し目を見開いた。
「冷蔵庫空にされちゃうのはさすがに困るけど、作った分ならいくらでもどうぞ。持ってくるね」



