基準値きみのキングダム



𓐍
𓈒




「ごめんね、パパが引き留めたせいで、帰り遅くなっちゃって……」

「んーん、全然」




あのあとも、杏奈の父さんと時間を忘れていろいろ話して、気づけば夜も深まっていた。



俺が帰るとき、杏奈はいつも階段のところまで見送りに来てくれる。


別に玄関まででいいのに、と思うけど、とことこと着いてきてくれるのがあんまりかわいいから、そのままなにも言わずにいる。





「でも、緊張した、でしょ」

「そりゃー……まあ」





さすがにバレてるか、と苦笑する。



緊張しないわけがない。

“彼女の父親に挨拶” なんてシチュエーション。



だって、嫌われたくないじゃん。

好かれたいじゃん、ちょっとでも。





「でも、会えてよかったし、話せてよかった」