基準値きみのキングダム



𓐍
𓈒




「パパ、帰ってくるのは明日になるって」

「うん、その予定だったんだけどね。できるだけ早くと思って仕事片付けてたら、1日巻けてさ」




顔はあまり似ていない。

どちらかといえば、奈央に似ている。



でも、眉の形や鼻のカーブといった細かい部分で、それからなによりもまとう雰囲気がそっくりで、ああ杏奈の父さんだな、と納得した。





「パパ、夕ごはんはまだだよね。持ってくるね」

「おお、ありがとう」


「そうだ、ミョウガも漬けてあるの」

「ほんとかっ? いつもありがとう、嬉しいよ」


「じゃあ準備するね。京香も手伝ってくれる?」




うん! と勢いよく返事した京香と連れ立って、杏奈はキッチンへと向かった。

「じゃあその間に俺は風呂でも」と奈央も消えてしまう。




リビング、残されたのは俺と杏奈の父さんのふたりきり。


急に空気が重たくなって、気まずさに耐えていると、突然杏奈の父さんががっくりとうなだれた。