基準値きみのキングダム



「……っ、ふ」



髪をとかすように指をさしこまれて。

その手つきは優しいのに、キスはどんどん長くなっていく。



酸素が足りない。

くるしくなって、困り眉、涙目ですがるように恭介を見つめたら。




「あー、めちゃくちゃかわいい」

「……っ、え」


「……杏奈、口開けられる?」

「くち……?」


「そう。あーって、開けて」




ドキドキしすぎてわけがわからなくなって、深く考えることができない。

首を傾げつつ、言われるがまま、口を開いたら。


すかさず、また唇が隙間なくぴたりと重なって。




「っ、ぁ……ぅっ」




ぬるりとした生暖かいなにかが口内に割り込んでくる。


びっくりして舌をひっこめたら、それは追いかけるように迫ってきて、逃げきれず、とろりと絡まった。