基準値きみのキングダム




𓐍
𓈒




「ごめん、ちょっと散らかってるけど」



深寿庵の店舗と、恭介のお家が繋がっているのは聞いていたけれど、実際に足を踏み入れるのははじめて。


もちろん、恭介の部屋も。




木目で統一された空間。家具はシングルベッドと、机と、本棚。本棚の中には文庫本がぎっしり並んでいる。

ベッドの上に、スウェットが無造作に脱ぎ捨てられていて、恭介はそれを慌てたように片した。



……恭介の、匂いがする。





「テキトーに座っていいよ」

「わ、わかった」




ベッドに先に腰かけた恭介に言われて、きょろきょろと辺りを見回す。

どこに座るべき、なんだろう。

迷った結果、床にぺたりと正座すると。




「ふは、遠くね?」