𓐍
𓈒

SIDE/ 森下杏奈




思わず、目をまあるく見開いた。




「わ……たし……」




声が、思わず細く揺れる。

だって、私は。





「深見くんが言うほど、かわいくないよ」

「なんで信じてくんねーの?」


「っ、これは、事実だし。私よりもかわいい女の子なんて、そこらじゅうにいっぱいいる……っ」




うつむきかけた私の頬を、深見くんの人差し指がとんとんとつついた。




「つーか、それ関係ある? 俺の世界で一番かわいいんだから、それでいいじゃん」




呼吸が、止まるかと思った。

息を呑んだ私に、深見くんはかすかに笑って。




「俺を、杏奈の基準にしてよ」




そんなことをさらりと言うから、目頭がぐっと熱くなった。