基準値きみのキングダム



𓐍
𓈒



ついに本番、スポットライトの眩しさに思わず目を細める。


スピーカーから流れる大音量のポップミュージックに包まれながら、ランウェイもどき────生徒たちの間に作られた花道を歩くだけなんだけど、緊張でおかしくなりそうだった。




右手右足が危うく同時に出るところだったし、踵の高い靴に慣れず、何度もつまずきかけた。



もともと人前で注目を集めることが得意じゃないのもあるけれど、なにより、周りの熱気がすごくて。



一般にも公開している1日目とは違って、今日はここの生徒しかいないはずなのに、どこから集まってきたんだろうと思うほどの、すごい人だかり。




上林さんが登場したときなんか、歓声とどよめきで、体育館の天井が落ちてくるんじゃないかと心配になるほどだった。





「……っ、ふう」




心臓をバクバクさせながら、花道をなんとか最後まで歩き終えて、階段を登る。