♡
𓐍
𓈒
「これ……、本当に私の衣装、ですか?」
家庭科室に着くと、内海さんが「待ってたよ〜!」と出迎えてくれた。
それから、さあさあ着てみて、と完成した衣装を手渡されたのだけれど。
抱きかかえた布のかたまりに、瞬きを繰り返す。
淡いピンクのシフォン生地で、キラキラしたスパンコールがいくつも縫いつけられているのが見える。
広げていないから、全体像はわからないけれど、これが本当に私のために用意された衣装なの……?
「もっちろん! 採寸のときに1度会ったじゃない。そのときの森下さんからインスピレーションを受けて作ったんだよ。正真正銘、森下さんのためだけに腕によりをかけましたーっ」
下半身にけっこうボリュームのあるデザインにしてみたんだよね、森下さん身長あるから活かしたいなーと思って。
絶対似合うと思うの、と家庭科室の奥をパーテーションで仕切っただけの簡易的な更衣室にぐいぐいと押し込まれる。



