小学生になって、京香も大きくなったな、あんなに小さかったのに……と感傷にひたっていたけれど、まだまだ幼いんだとこうしてみるとよくわかる。
猛ダッシュでアイス売り場に向かった京香は、1分もしないうちにまたダダダダッと激しい足音とともに帰ってきた。
「京香、そんなに走っちゃあぶな────っ!」
あぶない、と今、まさに注意しようとしたところで。
真横の角から、ショッピングカートがちらりと覗く。
「……!」
どうしよう、ぶつかる、衝突しちゃう。
ひゅっと肝が冷えた。
どうしよう、京香がケガしたら私のせいだ。
私が、ちゃんと京香の手を握っていなかったから。
私が、京香のことを守らなくちゃだめなのに────。
コンマ数秒のうちにぐるぐるぐるぐるとマイナスなことばかり考えて、足も動かないまま、青ざめて。
走る京香と飛び出してくるカートがスローモーションに見えて、思わず息をのんだ、ら。
「っ、あっぶな!」
「ひゃう……っ!?」
衝突する、寸前。
誰かが京香を器用につかまえて、ひょいと抱き上げた。
京香はきょとん顔でまぬけな悲鳴をあげている。
「あ……」
間一髪で何事もなかった、京香の無事な様子を見て、へなへなと膝から崩れ落ちそうになりながら。
「ご、ごめんなさい……! 私が目を離したから────」
ぺこり、深くお辞儀をして。
頭を上げながら、京香の救世主の姿を確認すれば。
「あれ、森下?」
「え」
……。
思考回路が一瞬フリーズ、のち。
「ふっ、深見くん!?」



