基準値きみのキングダム



𓐍
𓈒




「4組の深見くんと森下さんねー。とりあえずこっち来てもらっていい?」




家庭科室に入るなり、服飾部の人たちに奥まで案内される。


そこには、私たちと同じように3年生の各クラスで選ばれたひとたちが集まっていて、順番に採寸してもらっていた。


さすが慣れているのか、部員たちはプロかと思うくらい手際がいい。





「わざわざ放課後にごめんね。なるべくさっさと測らせてもらって解放するから」




バインダーとメジャーを片手に私たちの前に現れた女の子に「改めまして、よろしくね。私が、4組のふたり────深見くんと、ええと、森下さんの衣装を担当することになっています」と挨拶される。



名前を内海さんと言うらしい。





「じゃあ、先に森下さんの方から採寸するね」





小柄な内海さんが私のまわりをちょこまか動き回って、都度、テーラーメジャーを当てていく。

さらさらと数値をメモしていく眼差しは真剣そのもの。