基準値きみのキングダム



深見くんのまわりに、チカチカと星が瞬く。

なにこれ、目が変になったみたい。



キラキラして眩しくて、胸が苦しくなった。





「もう文化祭なんて、早いね」




ぎこちなく話題を変えると、深見くんは「はは」と笑った。





「まだ3ヶ月も先だけどな」

「たしかに、そう、だけど」



「でもまあ、すぐなんだろうなー。進路のこととか考えてたら夏休みは一瞬だろうし、文化祭の準備もやること結構あるだろうし。そーいや俺、委員会の方でも文化祭の出し物あるんだよな」



「図書委員、だよね」

「そう」


「何するの?」

「まだ決まってない。でも、頑張って準備するからさ、杏奈も遊びに来てよ」




きゅっと胸がつまる。




「……うん」




頷くと、深見くんは満足そうにする。



高校生活最後の大きなイベント。

文化祭が終われば、もう入試も、卒業も、目の前だ。



卒業したら、深見くんとはもう会えないよね。

今みたいに隣を歩くことも、もうないんだ。




そんな未来を想像して、寂しい、なんて思ってしまった。