基準値きみのキングダム



どうしよう。
どうするの。


私があのステージに立つなんて、公開処刑だよ。


でも、もう、逃げられない。
そもそもくじ引きの結果なんだし。




泣きたいくらいの困惑と焦りでいっぱいになって、でも、それを声にすることも顔に出すことも、上手くできない。


近衛くんは、代わり映えしない私の鉄仮面を覗き込むようにして。




「おめでとー」




なんて見事な棒読みで言ってくるけれど、「思ってないよね?」と突っ込む余裕もなかった。




どうしよう。
どうしよう、ほんとうに。


大変なことになってしまった、かもしれない。