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「杏ちゃーん、今日のごはん、なーにー?」
「う……まだ考えてないの。京香はなにがいい?」
「ええとね! 杏ちゃんがこの前つくってくれたチヂミがいい! しゃきしゃきして、チーズがみょーんってのびるの!」
「あの、もやしの? ふふ、いいよ、そうしよっか」
「ほんとうっ? やったー!」
「この前いっぱいもやし買ったからね。じゃあ……それと、卵とトマトのふわとろ炒めでどう?」
「わあ! 杏ちゃんてんさい!」
私の右手をぎゅう、としっかり握ったまま、京香はきらきらと目を輝かせている。まんまるのきゅるきゅるの瞳がひかりをいっぱいに集めていて、すっごくかわいい。
我が妹ながら、ほんっとうにかわいい。目に入れても痛くないとはこのことかあ、なんて、京香が生まれた7年とちょっと前からずっと思っている。
────深見くんがアンケートの集計を手伝ってくれたおかげで、なんとか京香のお迎えに間に合った。
京香はまだ7歳になったばかり。鍵をもたせてひとりでお留守番してもらうのには心配がつきなくて、放課後は学童で預かってもらっているのだけど……、学童保育は6時までだから。
「はっ、そうだ卵! それから牛乳!」
今日の朝に卵と牛乳を切らしていたんだった。
これじゃあチヂミも炒めものもつくれないし、明日の朝の牛乳もない……!
ちら、とスマホで時刻を確認する。
今からスーパーに向かえば、ちょうど、夕方のタイムセール、かも。
「京香、スーパーに寄ってもいい?」
「いいよお! がってんしょうち!」



