こいつらといる数年より あいつといた一瞬が 輝いているのはなぜだろう

「じゃあな」
下校の別れの言葉を交わし、彼と反対方向へ進む。
 もう、この時間も残り僅かだ。
…いつ、言えばいいだろうか。いつなら、言えるだろうか。
 引っ越すのは別にいい。この土地に思い入れは無い。
…ただひとつ、心残りなのはやっぱりあいつだ。
 こんなに人を好きになったことは無い。これからもないだろう。
 どうして、同性を好きになってしまったんだ。
 どうして、あいつなんだ。
 もう抑えきれないこの気持ちは、あいつを見るだけでどんどん溢れてくる。潔く諦められるように、別れの言葉を最後にもう会わないことにしよう。あいつのことを直視できなくなってしまっているのだから。 
 引っ越しのことを言い出そうとしているのになかなか言葉が出てこないのは何故だろうか。もう期待なんかしない。言ってしまえば終わることだ。