クズの間に生まれた子どもはクズなのか?

やがて季節は秋から冬に変わり、春を迎える。私たちは二年生になった。しかも同じクラスに。

「同じクラスになれてよかったね」

「これで、好きな小説の話ができるわ!」

私と五十鈴くんは今日も図書室に顔を出す。そして、新しく入ってきた本のコーナーを眺めた。

「最近はミステリーにハマってるんだよな〜」

「ミステリー?コナン・ドイルとか、アガサ・クリスティーとか?」

「その人たちのも読むけど、一番好きなのはアリス殺しかな。どんでん返しの結末が面白いよ!」

「へえ……読んでみようかしら」

「おすすめだよ!」

そんなことを二人で話しながら本を見る。面白そうな内容の本がいくつかあり、私は一冊を手に取った。

「ねえ」

五十鈴くんの声が、不意に緊張している時のものに変わる。私が横を見れば、彼の顔はいつも以上に赤く染まっていた。

「……俺……俺……ずっと前から、岩崎さんのことが好きです。俺と付き合ってください」