クズの間に生まれた子どもはクズなのか？

「縁談？」

作り笑いを浮かべる若社長に私が戸惑っていると、父が「この方とお前は結婚するんだ。お前が大学を卒業したらすぐに式を挙げよう」と言い出す。私は「えっ！？」と驚くしかできない。

「私、仕事は……」

「しなくていいです。私が稼ぎますから」

若社長は作り笑いのまま話し、父や母は相手に取り繕っている。勝手に縁談話は進んでいて、もう式の話になっていた。

恋人がいる、そんなことを言うことは許されない。余計なことは言うなと言いたげな目を二人から向けられ、私はずっと黙り続けていた。

相手が帰った後、私はフラフラした足取りで五十鈴くんの待つ家へと帰る。こんな話をしたら、彼は絶対に私を振るだろう。それでも、結婚のことは話す必要がある。

「おかえり！今日のご飯はラザニアだよ」

五十鈴くんが私を出迎える。その笑顔を見た刹那、私は泣きながら彼の胸の中へ飛び込んだ。

「えっ？玲？」

「五十鈴くん……ごめんなさい……」

私は泣きながら彼に全て話した。もう結婚は決まっている。今さらどうすることもできない。