生まれたばかりの子どもを抱いて、私は彼と空港へと小走りする。胸はずっとドキドキして、まるで映画やドラマのワンシーンのようだ。

空港に着くとすぐに搭乗手続きを済ませる。行き先はデンマーク。もう日本に帰って来ることはないだろう。

「……やっと家族になれたね」

飛行機に飛び乗り、隣に座った彼が微笑む。その顔は疲れているはずなのに、とても爽やかだ。

「ええ。もう私たちの邪魔は誰もしないわ。私とあなた、そして生まれてきたこの子と、楽しく幸せに暮らしましょう」

あれだけバタバタしていたのに未だに眠り続ける息子を見て、私と彼は微笑む。彼がボソッと言った。

「この子の弟や妹も作らないとね」

「ええ、そうね」

やっと地獄から解放された。やっと愛する人と一緒になれた。嬉しすぎて、今にも泣いてしまいそう。

そんな私の気持ちを察したのか、彼は優しく私の頭を撫でてくれる。そんな優しさに惹かれたの。